相続で確認すべきこと
親が亡くなると死亡届けを出したうえで葬儀の段取りに入ります。
その際、さまざまな手続きが必要になりますので確認しておきましょう。
相続財産の重要性
まずやらなければならないのが、遺言書の確認です。
また、自筆証遺言書や秘密証遺言書があれば、家庭裁判所に行って開封してもらう検認という手続きが必要になります。
次は相続財産の把握になります。
遺言書の有無にかかわらず、相続財産を知ることはとても重要です。
なぜなら、プラスの財産だけでなくマイナスの資産も相続することになるからです。
そこでプラスの財産とマイナスの財産をリストアップしてその額を一覧表にまとめます。
不動産や書画骨董などのように正確な額がわからない場合は、おおよその金額を書き込んでいきます。
とくに念入りにしなければならないのが、借金や他の人の連帯保証契約などのマイナスの資産です。
相続する場合それらも合わせて相続することになります。
秘密にしている借金などないかどうかタンスや郵便物などくまなく探すようにしてください。
もし、借金があれば郵便物などに手がかりがあったりするので、その結果を見て相続する人は個人の財産を相続するのかどうか決めます。
相続すると決めたら、相続人同士で遺産をどのように分けるのか遺産の分割協議を行います。
話し合いの中で決まったことを、遺産分割協議書にまとめます。
遺産分割協議に期限はありませんが、それぞれの名義変更や配偶者の税額を減らす制度を利用する場合は申告しなければなりません。
遅くても相続税の申告期限がある10ヶ月以内に行う必要があります。
遺産分割協議は、基本的には全員参加です。
5人いたとして3人が賛成したからと言って多数決で決まるようならことはありません。
1人でも反対する人がいれば遺産分割協議はまとまらず、長引く可能性も多いにあります。
相続登記をしないと家は売れないので注意してください。
遺産分割協議がまとまったら
話し合いがまとまれば、今度は預貯金や不動産の名義変更が必要になります。
故人が所有していた財産は、基本的には遺産分割協議が終わるまで相続人全員が共有していることになっています。
勝手に預貯金を引き出したり名義変更はできません。
銀行はこういった相続人の間のトラブルを防ぐために、親が死亡したことを知ると口座を凍結します。
これがやっかいで、公共料金の引き落としなどもできなくなるのです。
そのため相続人の間で話し合い、引き落とし口座の手続きを行う必要があります。
預貯金に関しては、遺産分割協議がまとまる前でも相続人全員の印鑑や印鑑証明書をつけた承諾書があれば名義変更や解約はできます。
葬儀費用だけは例外的に引き出しを認めている銀行もあります。
生命保険も自動的に支払われるわけではないので、受取人などの遺族からの申請も必要です。
営業担当者や生命保険会社に電話をして申請に必要な書類を取り寄せます。
相続税の支払いが必要な人は10ヶ月以内に申告し納税しなければなりません。
基本的には相続税は現金で支払います。
その場合の財産評価は、
・預貯金は死亡した日の残高
・車は下取り査定額
・不動産は国税庁が毎年7月頃に発表する路線価を基準にした相続税評価額
です。
手元に現金がない場合、不動産などの現物で納付する物納や、納付を延期してもらう延納という方法があります。
ですが、物納できる不動産はかなり厳しい要件があり、延納の場合は別に利子が必要になります。
相続を放棄する場合
遺産整理が終わってプラスの資産も少なく土地もいらない場合は相続放棄の手続きに入ります。
当然ですが、プラスの資産が多ければ相続放棄はしない方が良いでしょう。
土地を売却したり貸したりして活用するメリットがあれば、実家を相続する方法も有効です。
それでは相続放棄の手続きについて解説していきます。。
法廷相続人が被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立て、相続放棄の受けた通知書が届けば完了です。
※裁判所へ相続放棄の申請をしたときに証明書の交付を受けておくと、債権者へ提示するときに使えます。
相続放棄の費用は裁判所によって異なりますが大体2000円くらいです。
しかし、司法書士や弁護士に依頼すると司法書士なら3万〜6万円、弁護士なら相続人1人あたり8万円〜15万円程度は必要です。
自分でやったら2000円程度ですむのですがそれなりにリスクはります。
なぜなら、裁判所に相続放棄の申請ができるのは一度だけだからです。
却下された場合手続きをすることができなくなります。
もし、間違っていたりすれば申し立てを却下される他いらない土地や建物を相続するかもしれないのです。
きちんとした知識を持ち合わせていない場合は、司法書士や弁護士にお願いしたほうが良いでしょう。
また、一度相続してしまった財産は相続放棄することは難しいです。
相続したつもりはなくても、手続きを忘れていたり一部を売って現金化したりすると相続したとみなされ相続放棄の申請はできなくなります。
基本的には、3ヶ月を過ぎれば相続放棄はできません。
親の借金が見つかるなど、まともな理由がみつかれば認められますが実家を相続したくないという理由だけでは難しいです。
相続放棄に関する悩みは本当に複雑で、人それぞれの事情があり非常に難解なケースがあることも多いです。
いずれにせよ、わからないことが多ければ司法書士などに相談することをおすすめします。
>>遺言書の力